「第14回鹿児島腎と薬剤研究会」開催のご報告

 ご報告が遅れてしまいましたが、2018年9月8日に「第14回鹿児島腎と薬剤研究会」を開催しました。土曜日の午後にも関わらず、多くの熱心な先生方にご参加頂きました。ありがとうございました。 

 

 冒頭では、医薬品卸の富田株式会社様より、腎排泄型薬剤処方監査支援システム「compRete」のご紹介がありました。

 

 処方された薬の中で腎排泄型薬剤がある場合、PC画面上でポップアップで注意喚起をしてくれ、さらに推奨投与量まで教えてくれるというシステムのようです。ご興味のある方は上記リンクをクリックしてみてください。

 では、本題です。まずは一般演題から。

【一般演題①】 

 「保険薬局におけるCKDと薬物治療への関わり」という演題で、霧島市民薬局 管理薬剤師でいらっしゃいます、泊口豊先生よりご発表頂きました。 

 

保険薬局におけるCKD患者に対する取り組みと、貴重な症例を交えて発表頂きました。普段から当たり前に投薬している患者さまですが、超高齢化を迎える鹿児島ではより投薬に注意を払う必要があります。特に、ワーファリンなどのリスクの高い薬剤を投薬する際は腎機能以外にも薬物相互作用を踏まえて検討する必要があると思いました。

 また、泊口先生は学術集会での発表も多く行っていらっしゃいます。日常業務の疑問点から導き出したことや経験したことを、積極的に発信していかれる姿勢はぜひお手本にさせていただきたいと思いました。

【一般演題②】 

 「当院の疑義照会の実態調査と腎排泄型薬物に対する薬剤師の介入」という演題で、鹿児島共済会南風病院薬剤部の伊集院聖司先生よりご発表頂きました。

院内における疑義照会、それに伴う処方提案における状況をご報告いただきました。検査値を常に意識し、過量投与による副作用予防のため薬剤師と医師と他の職種を含めて連携をすることの大切さを学ばせていただきました。

さらに、南風病院における院外処方せんへの検査値に対する取り組みとして、お手帳に貼付できるサイズの検査値一覧を発行されています。書き写さず手帳に貼付できる点、貼付された情報が埋もれないようインデックス形式になっている点など、患者様を第一に考え、さらに保険薬局の先生方の視点も踏まえたものとなっているようです。

 みなさん、南風病院からの処方箋に検査値が掲載されていた場合は、患者の了承を得てぜひお手帳に貼付してみてください。

【特別講演】 

 特定医療法人 仁真会 白鷺病院 薬剤科 科長でいらっしゃいます、古久保 拓先生をお招きして「よし、薬剤師の力を足してCKD患者の薬物治療をより安全にするぞ」と題してご講演いただきました。

 薬剤師として、CKD患者様と向き合う際、薬や検査値だけに向き合うのではなく、腎機能低下を招きやすい患者様のリスク因子(腎臓シックデイ:疾患や環境、運動などの生活習慣や食事・排泄などの生活状況)などの情報を含めて総合的に判断する視点が必要であるということをご講演いただきました。

CKD患者に急性腎障害を発症させてしまうと予後が良くないという事もあり、私たち薬剤師は起こりうる可能性を予測し、観察することでより安全な薬物治療に取り組む意識しておかなければならないと思いました。

 鹿児島マラソンを走られる皆様!走る際に痛み止め(NSAIDs)を使用するのは注意しましょう!服用するなら飲水をしっかりと(‘◇’)ゞ